水道水における有機フッ素化合物(PFAS)の状況について
丹羽広域事務組合水道事業では、お客さまへ、安心で安全な水道水をお届けするため、令和2年度から有機フッ素化合物の代表物質であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の水質検査を実施しています。この状況においては、近年の社会的関心が高まっていることから皆様にお知らせするものです。
丹羽郡の水道水は国が定めた暫定目標値以下であることを確認しており、安心してご利用いただけます。
PFOS、PFOAの検査結果

暫定目標値とは
暫定目標値50ng/Lは、体重50kgの人が1日あたり2Lの水道水を生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと考えられる値です。
PFOS、PFOAとは
有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。具体的には、PFOSについては、半導体用反射防止剤・レジスト、金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOAについては、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに主に使われてきました。
PFOS及びPFOAには、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、現時点では北極圏なども含め世界中に広く残留し、仮に環境への排出が継続する場合には、分解が遅いために地球規模で環境中にさらに蓄積されていきます。環境や食物連鎖を通じて人の健康や動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
(環境省PFOS、PFOAに関するQ&A集資料)
検査体制
本水道事業では、令和2年度から、本水道事業の策定した水質検査計画に基づき、年1回、1水源の原水についてPFOS及びPFOAの水質検査を実施していましたが、令和5年3月からは、全ての水源の原水において水質検査を実施しています。
また、これらの原水を浄水処理(滅菌処理のみ)した水と、県営水道の水を混合してお客様へ水道水(給水栓水)としてお届けしており、全ての水道水が暫定目標値を下回っていることを確認していますので、安心してご利用いただけます。
※原水とは・・・原水とは、井戸からくみ上げた浄水処理する前の「水」
※給水栓水とは・・・原水を次亜塩素酸ナトリウムにより浄水処理(滅菌)した「水」でお客様が実際に使用する水道水(県営水道の混合を含む。)
水道水の水質基準の体系

「水道水質基準について」(環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/water/water_supply/kijun/index.html
※現在のPFOS、PFOAは「水質管理目標設定項目」であり、水道事業者の検査義務はありません。
水道部の対応について
PFOS及びPFOAの国の暫定目標値は50ng/Lではありますが、本水道事業独自の目標値を35ng/Lと設定し、皆様により安全な水をお届けします。また、引き続き国などの動向を注視し、情報収集をしつつ、必要に応じて水質検査頻度を増加するなど更なる水質監視の強化を図っています。
丹羽郡の状況について
暫定基準値を下回っているものの、原水において比較的高い数値で検出された「大口北部配水場」では、独自目標である35ng/L以下となるよう県営水道の水を混ぜて配水することにより、濃度の低減化を図っており、原水及び給水栓において毎月、水質検査を実施し、独自の目標値を下回っていることを確認しています。
人への影響
PFOS、PFOAは、コレステロール値の上昇、発がん、免疫系等との関連が報告されています。しかし、どの程度の量が身体に入ると影響が出るのかについては十分な知見はありません。そのため、現在も国際的に様々な知見に基づく基準値等の検討が進められています。また、国内において、PFOS、PFOAの摂取が主たる要因と見られる個人の健康被害が発生したという事例は確認されておりませんが、環境省は内閣府食品安全委員会が行った食品健康影響評価の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づき、暫定目標値の取扱いについて、専門家による検討が進められ、現在でも「健康影響に関する情報が不足しており、不明な点が多く、その他の健康影響についても、評価に使用できる情報が現時点では不十分であり、今後の知見の集積により、新たに検討が必要となる可能性はあり得る。」とされています。
PFOS及びPFOAの目標値の取扱い
食品安全委員会においてPFAS(有機フッ素化合物)の食品健康影響評価を実施し、令和6年6月25日に評価書を公表しています。この評価書等を踏まえ環境省において、水道水中のPFOS及びPFOAを令和8年4月から水質基準項目とし、基準値を合算で50ng/Lとする案でパブリックコメントを実施しました。
令和元年度水質基準逐次改正検討会の検討 | |
耐用一日摂取量(TDI※) | PFOS:20ng/kg 体重/日 PFOA:20ng/kg 体重/日 〇近年の諸外国・機関が行ったリスク評価で妥当と考えられたものの中から、安全側の観点から最も低いものを採用 |
水道水における取扱い | PFOS及びPFOAそれぞれ50ng/Lと算出し、より安全側に立ち、PFOS及びPFOAの合算値として50ng/Lと設定 〇TDI:20ng/kg 体重/日、体重50kg、水道水の割当率10%、一日当たりの摂取量2Lを適用して算出 |
※ヒトが一生涯に渡って食品から摂り続けても健康に影響が出ないと推定される量
令和6年12月に令和6年度第2回水道水質基準逐次改正検討会が開催され、令和8年4月からPFOS及びPFOAを水質基準項目(50ng/L)に追加する方向性が示されています。
(環境省資料)
「有機フッ素化合物(PFAS)」の評価に関する情報
「有機フッ素化合物(PFAS)について」(環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/water/pfas.html
「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」(環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html
「PFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議」(環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/water/pfas/pfospfoa.html
PFOS、PFOAに関するQ&A集について
環境省では、PFASに対する総合戦略検討専門家会議を令和5年7月までに4回開催され、現時点における科学的知見等に基づき取りまとめられたQ&A集を公表しています。
詳細は、環境省のホームページから入手できます。
「PFOS、PFOAに関するQ&A集」(環境省ホームページ)
https://www.env.go.jp/content/000242834.pdf